株オタク「にしけい」の株式投資日記

MSワラントについて

MSワラントについて

12月にトラスト・テック(2154)を買って以来、株価が冴えないことを疑問に思っていました。その株価が冴えなかった原因が、タイトルにある「MSワラント」の存在でした。今回は、MSワラントとはどんなものなのか、そしてなぜ株価が上がらないのかをまとめていきます。

 

MSワラントとは?

MSワラントとは、「Moving Strike warrant」の略で日本語にすると「行使価額修正条項付新株予約権」のことです。これは株価変動に合わせて行使価額が変わる新株予約権で、主に増資の手段として使われます。引受人が儲かる仕組みとなっており、たとえば以下の条件が付いているMSワラントであれば、

  • 権利行使価額1,000円
  • 下限行使価格600円
  • 権利行使価格は当日終値の90%

下限行使価格600円以上でMSワラントを行使することで、100% – 90% = 10% 分の利益を手に入れることができます。

また、MSワラントは引受人を銀行やスポンサー企業に限らず募集できるほか、引受人にとっては低リスクで儲かる仕組みになっているので、引受人を簡単に集めることができます。別の観点から考えれば、銀行やスポンサー企業から見放されたり事業にリスクがあり融資してもらえなかったりした企業にとっては、非常に便利な資金調達手段である、という側面もあります。

以上から、MSワラントを発行する企業は、その事業内容や経営体質に問題を抱えている可能性があり、投資する際は注意しておこなう必要があります。

 

MSワラントは株価を下落させる

MSワラントは、引受人が利益拡大を目的として空売り(投資家自身が株式を持っていない場合に、証券会社から借りてきて売ること)とセットで行使されることが多く、株価の下落圧力が働きます。その仕組みは以下の通りです。実際にトラスト・テック(2154)で用いられたMSワラントを使って、その手順をまとめてみます。

■トラスト・テック(2154)のMSワラント
当初行使価額:3,390円
下限行使価格:2,034円
行使価格は終値の91%

この場合、MSワラント100株分を引き受けたとします。

(1)当初行使価格3,390円で、100株を空売りする
(2)2,345円まで株価が下落したら、2,034円でMSワラントの権利を行使し、100株を入手
(3)取得した100株を(1)の3,390円で空売りした株に充てる
(4)(2)の利益「311円 × 100株 = 31,100円」と、(3)の利益「1,045円 × 100株 = 104,500円」の合計135,600円が手に入る

実際にはMSワラント行使時に指定された金額を発行主体企業に払い込んでいるので、丸々135,600円を利益として手に入れることはできませんが、株価下落による含み損などのリスクを取ることなく、儲けを得ることができています。以上のことから、MSワラントの引受人によって空売りと権利行使が併用されて、株価に下落圧力がかかることがわかります。

 

MSワラントは既存株主の利益の毀損の上に成り立つ

MSワラントは空売りとセットで行使されることが多く、株価が下落するきっかけになるとお話ししてきました。しかし、MSワラントによって既存株主が被る被害はこれだけではありません。それは、「株主の利益・権利の希薄化」です。

MSワラントは「新株予約権」の一種ですので、行使されることでMSワラントの引受人に対して株式が発行されます。その結果、発行済株式数が増加するので、一株あたり利益(EPS)が低下するとともに、全議決権に対する既存株主の割合が縮小してしまいます。株主の利益と権利が損なわれる、という弊害が生まれているのです。

以上のことから、MSワラントは既存株主の利益を損なう性質を持っているため、発行主体である企業は株主を大切にしていないことを表しています。株主を軽視する企業を投資によって応援するのは、非常にバカバカしい話だとわかりますよね。

 

投資する際はMSワラントに注意

今まで見てきた通り、MSワラントは発行主体企業の株主にとって「」です。これからは、自分が株主になろうとしている企業が過去にMSワラントを発行していないか、そして今後発行する予兆がないかをチェックしてから、投資の可否を決定していかなければならないと反省しました。今回の反省を生かし、会社のIR情報を中心に丁寧に調査していきます。

また、MSワラントと類似の資金調達手段として「MSCB(転換価格修正条項付転換社債型新株予約権付社債)」というものもあります。MSワラント+社債という形式のものですが、既存株主の利益を毀損することは同じです。このような増資がおこなわれていないかもチェックして、株主を大切にし、銀行やスポンサー企業からも信頼されている企業を選別していきたいですね。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。